Slow is Fast 4 ハリ
ハリを出す。
今回は、家を改装するにあたり、最初からやりたかった天井の梁を表すことについてです。
古い天井を抜くとそこには立派な梁が姿を表しました。
昔の家は天井高も低く、現代の人にはそれが閉塞感を感じさせることもあります。
そこで天井高を上げて、立派な梁を見せることにしました。
しかしながら、天井高を上げることは空間を広くするため冬場に寒くなるだろうと思われます。
そこで、空間の半分だけを高く上げて、残りの空間は控えめにすることで解決をはかりました。
いいとこ取りをしようと決めたのです。
天井高を決めるにあたっても、大工さんなどと、たくさんのやり取りを行い、時に険悪になったりすることもありながらも、理想の形、ベストなビジョンに向けて試行錯誤を繰り返しながら前進していきました。
また間取りについても。冬場は建具で空間を区切ったり、夏場は取り外して大きな一間にしたり出来る可変式の間取りを考えました。
それは昔ながらの日本の住宅の機能性、そしてその情感に深く感動していたからでした。
その日本の住宅のいいところを現代にアップデートして快適な家にしたかったのでした。
天井は無節の杉板を貼りました。
大工さんは苦労しながら一人で黙々と貼っていきました。
作業姿勢も大変な中、しっかりと働く姿に、自然と敬意が生まれました。
さて、梁をだすにあたり、大工さんから梁の古い皮を削って、埃や汚れとともに磨き、綺麗にしてみたらとの提案がありやってみることにしました。
ものすごい埃を浴びながら数日かかって磨きました。
その後、古い柱なども磨きなおしました。
そして新しい材となじませるために柿渋を塗りました。
薄めに溶いて塗ってみたところ、あまり色がつかず、だんだん濃くしてみたら今度は濃くなりすぎて、全体が暗くなりすぎたので、また削り直す二度手間に。。。
相当大変でしたが、新しい材料にも自分の手が入り愛着は増しました。
そして以前よりも空間に馴染んだ気が。。(気分の問題です笑)