祈り
いつものように、ParisのBrocante(蚤の市)に出かけたときのことだった。
その日は、最近のんびりとCouillyで過ごし、時間野過ぎ行くままに任せていた自分への戒めとして、Parisへ行き、がんばって探し物をしていた。
世界有数のGalerie Perrotinでは、Artist、JRの素晴らしいArtとサービスを楽しんだ。
友人からの情報で近くの教会にてBrocanteがあるときいていたが、なにげなくよく行くMarais地区を歩いていたらBrocanteというより、バザーをやっている趣の教会を見つけた。
きっとここだろう。
外ではクレープを1E(110円)で売っている。財布の中を見ると、細かいお金を全部会わせても1Eほどだった。
1Eを渡して注文するとマダムはにこりと笑った。
熱いまま手でつかんでほおばると、クレープは、小さいが、豊かで優しい味がした。
Brocanteで、何か掘り出し物がないかと思い中に入ると、とたんに心の向きが変わった。
教会の厳かな空気に謙虚で、清らかな気持ちになり、心の中の声に従い、まず、真っ先に祈りを捧げることにしたのだった。
教会の空気が俺は大好きだった。
いろいろと見ていると、ある木彫りの像に目が止まった。そこは、キリスト教関連の物達が集まったコーナーだった。
すると、また心の中で声がしたのだった。
「どれかひとつえらんだら、それをあなたにあげましょう。」
信心深い自分だが、まさかな、と思い、しばらくそれらをみていた。
お金を持っていなかったので、ATMでおろしにいき、もう一度教会へ向かいそのコーナーへと戻った。
もう一度見ていると、別のマリア様の祈りを捧げている像がとても気になった。
良いエネルギーを感じたからだ。
その時、隣にいたムッシュが、ほしいのですか?と聞いてきた。
いくらですか?と聞くと、50と聞こえた。50Eか(5500円ほど)。
私には高すぎるというと、じゃあいくらならほしいの?ときかれ、5~10Eと答えた。
その時また別の隣にいたムッシュが、笑いながら、それは、50C(55円ほど)だといった。
なんだ~と安心したら笑えてきて、彼らの背中をポンとたたいた。
みんなで笑った。
財布を見ると小銭がない。そういえば先使ったんだった。
ポケットから、先おろした10Eを出そうとすると、小銭がないならといって、ムッシュが払ってくれた。
彼はウインクして、祈りのポーズをとってみせた。
プレゼントで君にあげるから、毎日祈ってよと彼は言った。
自然と心が暖まり、うれしくなった。
ああ、本当にもらえたんだ!!
心の声の正しさに感動と、驚きをかくせなかった。
帰り道を歩いていると、友達が駆け寄ってきた。
友達とカフェにいるらしい。
みんなでカフェで一杯白ワインを飲んで、その後は酒屋で買ったボトルを、街のベンチで飲んで、楽しい時間をすごした。感謝の心が湧いた。素晴らしい話を肴にしてのお酒は、とてもおいしかった。
数日後、その街にいった時の事だった。教会の前でホームレスのようなおじさんが、なにかをつくっているのが見えて足を止めた。
彼は、石けんを彫って天使のぞうを彫っていた。話しかけると彼は笑顔で答えた。
すると心の中で「彼に2Eあげなさいと」聞こえた。
俺は少し悩んで迷った。あげるべきか、あげないべきか。
財布を見ると丁度2Eくらいしかない。2Eは自分にとっても決して小さいお金ではなかった。
でも思い切って心を込めて差し出すと、彼はあたたかい笑顔で笑ってお礼をいった。
暖かい心は、こないだの、せめてものお礼のつもりだった。
俺は、笑ってコートのポケットに手を突っ込んで帰った。
俺も腹が減っていた。
腹の虫がぐ~となった。