Hawaiian wedding 5 ノースショアへ
カハラホテルを出発する日が来た。
豪華で優雅ながら品格があり、落ち着いた最高のホテルだった。
これまでの、ボヘミアン的な生活に別れを告げ、新しく、豊かさも身につけた自分がいた。
ハワイでは初めとなる、レンタカーを借りるため、タクシーでミリタリーのホテルへ。
ミリタリー専用のホテルだと、さんざん運転手さんにおどかされたが、そこにオフィスがあって予約をした。
受付で働いていた方は、以前日本の神戸に留学経験のあるアーティストだった。
いりいろアドバイスをくれて、アートのコネクションが広がるサイトを教えてくれた。
そんな不思議な縁に感謝しつつも、車を借りる場所へと向かう。
じりじりと太陽に焼かれながら到着。
しかしホノルルのど真ん中で、道はほぼ一方通行で土地勘もゼロ。
カーナビもゼロ。
スーパーで買った英語の地図と、ガイドブック付属の日本語の地図を頼りに、出発した。
右側通行で、やや戸惑ったが、すぐに慣れてきた。
車もそんなに早くなく快調。快調。
しかし、方角と、道が分からない。
しばらくグルグルと周り、なんとか目標の道へ出る。
そして必死の思いでハイウェイへと進路を向け、ヌアヌパリ(Nuanu Pali) という絶景の見えるポイントへ向かう。
ここにもパリという言葉が。シンクロに驚く。
前述のメイクさんのまりこさんに教えていただいた、ジャングルの様な木の茂る古い道を通る。
大きくて神聖な、鳥のささやく木々が並ぶ道には、とても感動した。
山道を登ってヌアヌパリへ。
海や街、山など絶景の見えるこの場所はかつてカメハメハ大王が戦った地で、とても神秘的だが重たい歴史があったようだ。
たくさんの国の人達で賑わう。
その後車を走らせNorthへと向かう。
オアフの東海岸を通っていったので、たくさんの海や街を見る事が出来てとても新鮮だった。
一気に世界が広がった感じだった。
その日から一週間お世話になるサンセットビーチルームのKayokoさんと待ち合わせにテッズベーカリーへ。
地元で人気のお店で、涼しげなブルーの建物と、壁画がいい雰囲気だった。
Kayokoさんと合流。
爽やかで気さくでオープンなとても感じも良い方で、2人とも安心した。
SBR(サンセットビーチルーム)に着くと、そこは周りをワイルドな木々に囲まれた、素晴らしい場所だった。
野性のニワトリ達が駆け回り、様々な鳥の鳴き声に癒される。
そんな素敵な場所だった。
Kayokoさんがプライベートなビーチを案内してくれた。
そこも優しくて、ゆったりとできる場所だった。ただし蚊にはたくさんさされたが笑
風が気持ち良くて、ゆっくりと時が流れるノースショア。
素晴らしい場所だった。
Kayokoさんのおすすめもあり、翌日にはサーフィンのレッスンを2人で受ける事にした。
未来はこれがサーフィンデビューとなる。
明日の十時ね。といってKayokoさんは行った。
その日はドキドキして眠りについた。
海の恐怖心を克服できるだろうか?
子供の頃溺れて死にかけた事がある。
小学校一年の頃だ。
川で流されてあっという間に見えなくなっていく家族。
激しい流れに飲み込まれ死を覚悟したとき白い世界に浮かんで、ふっと楽になった。
まさにあの世の手前まで行ってしまったのである。
そのとき一緒にいたおばあちゃんが、急いで近くにいた釣り人を呼んできてくれて、助けてくれたのだった。
背中にのせてくれたのだがその時の安心感は今でも忘れられない。
その後、放心状態だった。
生と死の狭間を体験した事は、後の人生に多大な影響をもたらした。
そんな恐怖感から、海で足のつかないポイントへ行くのいが未だに怖かったのだ。
日本で海に行く時も、あのとき流されたパニックが起こらないように、毎回海の中で戦っていたのだった。
海が人一倍好きなのだが。
さて明日はどうなるのか。
鳥の声と、ヤモリを眺めて眠りについた。