謎の病。パリ個展2
Parisに引っ越してきてから、文字通り生活スタイルは一変した。
中心部に住んでいる為、人との出会い、酒を飲む機会が急増した。
今まで田舎に住み、交遊に関しては、やや不満だったので、良い機会とばかりに、毎日いろんな人達と出会い、新しいパーティーが毎日続いた。楽しかった。
並行して、毎日個展準備で、製作と、展示空間の製作をやり続けた。
思えばかなり無理をしていた。
ほとんどろくな物を食べずに、節約もかねて、安い自作のサンドウィッチを毎日食べていた。
そんなある日、起きたら突然肘に激痛が走った。
寝違えたんだろう。最初はそう思った。
しかし、なにかおかしい。少し寝てみたが、今度は熱っぽい。
骨折か?それとも?
それから、時を忘れて寝た。というより動けなくなったのだった。
熱に寒気。そして肘の腫れと痛み。
初めての体験だった。
その間、色々と考えた。
俺は、なんの為にここまで来て、Artをやってるのか?
伝えたい事は?
なんだったっけ?
二日ほどして、強引に水や、フルーツを買いに外へ出た。きつい。
やっとの思いで家に帰ると、こないだギャラリーで作品を見せたムッシュが、家の前の道にいた。
つらいながらも、会話して事情を初めて人に話した。
実は、急に肘が痛くなって、熱があって。
だから病院を教えてほしいというと、ならば俺の家までこいという。
???
半信半疑で彼の家(隣の建物だった)いくとそこは、豪華でセンスのいい最上階の一室。
ムッシュが急に医療用のグローブをはめた。
なんだこれは?
彼は、脇、足の付け根を触ってリンパの腫れなどを調べた。
ぎゃ~~~!!
その後彼が、なにやら紙を書いてくれたのだった。
彼はドクターだった。
おお。
またも奇跡が。
神の計らいに感謝しつつも、これからは、自分の生活を改めようと思った。
薬代は160E以上した。一万六千円強。高い。目が覚めた。
どうやら何かの感染症にかかったらしい。よっぽど弱っていたんだろう。
何が原因なのか?
世界中の人達と出会う日々。
そしてある男との出会い。
ヒッピーで、アナーキストの、お金をボイコットし、歩いてノルウェーから来たという、公園で出会った、旅人の友人ができた。(どんな友人だ笑)
バックパックと共にしばらく居座って、仲間と夜中に帰ってきては、酔っぱらって大声で起こされたり、プライバシーのない生活にストレスを感じていた。
彼は、お金をボイコットしてるから、何でも他の人にもらうのだ。
(彼はその行為で人に、シェアする事を教えていると主張する。)
寄付によりコミュニケーションが生まれ、人と人が出会い話す。
確かにそれは素晴らしかった。
物質的に豊かな人達が、そうじゃない人達と分け合う事を知る。それは良い事だった。
元々はインテリでもある彼は、文才もある。
しかし、度が過ぎて、人に寄生してばかりでは、ノミかダニのようになってしまう。
彼は寄生する人を捜しては、生きていた。
ある日ロシア人の女の子を連れてきた。
その日は彼女の家に泊まると彼らは出て行った。
彼をほっとけないのだろう。そういう女の子を何人も見た。
次の日俺は病に倒れた。
三日後くらいに彼が来た。
そのロシア人の彼女がバイクから落ちて、全身擦り傷だらけになったらしい。
なんともかわいそうだった。
若いのに。無事治るといいが。
それも教訓なのか?
最終的には、主義主張も良いが、やはり人間は、バランスが大事だな。そう学んだ。
心と、言葉、行動を清く正しく持つ事が大事である。
痛い教訓を乗り越えて、個展の開幕準備が整った。
いろんな意味で、つらさを乗り越えた今、準備は万全だった。
よし楽しもう!!自分のArtで世界中と会話しよう!!
いよいよ、ゆっくりと個展が始まった。