Hawaiian Wedding 9 ワイメア渓谷
その日は朝から、近隣の聖域でもあるWaimea Valleyという場所に向かう。
家からは車で十分ほどだ。
山を望む渓谷になっていて、たくさんの種類の植物達がきれいに管理されていて公園のようになっている。
入り口近くに、座って、なにやら編んでいるおばあちゃんがいた。
話しかけてみると、彼女はネイティブなハワイアンの伝統文化を伝えている方で、顔はほぼ日本人だった。
彼女のルーツが日系にもあるのかも知れないが、その英語はシンプルで力強く、そして分かりやすく優しく心に入ってきた。
日本とハワイのルーツのつながり。
遥か昔の遠い記憶の繋がりを会話の中から編み込んでいった。
おばあちゃんは、竹であんだかごのようなものを作っていて、それは日本にもあるよと言うと、うんうんとうなずいていた。
暖かい人としゃべった後は、優しくてとてもいい気持ちになる。
もちろん人によっては逆の場合もある。
会話して、爽やかな気持ちになる人、優しい気持ちになる人になりたいと思った。
いろんな植物を見て歩く。
山側から川が流れていて、いろんな花が咲いている。
いろんな鳥がえさをついばみ、優しく歌う。
頭の真っ赤な鳥。
くちばしのまっ黄色なぴょんぴょんと飛ぶように歩く鳥。
真っ赤に広がった、レフアの花。
咲き誇るブーゲンビリア。
道は山の上のほうになだらかに続いていて、ゴールには滝があった。
そこは間違いなく聖なる滝だった。
有名な観光地であるので、観光客も水を浴びたり、泳げるようになったいる。
ライフガードと、救助用のサーフボードまで用意してある。
俺も滝の周囲の水を浴びて泳いで楽しんだ。
そしてその地にあるヘイアウを拝んでから帰る事にした。
ヘイアウとはエネルギーのへそ。
ハワイアン達が聖地とあがめた場所である。
地球のコアと繋がる場所で、俺はそこに愛と平和の祈りを捧げた。
地球中に届くイメージで。
ハワイも大事な物を失って取り戻すのに一生懸命だ。
しかし、そこに脈々と受け継がれている大切なエネルギーは、人種や宗教、性別を超えて人々を癒している。
まるで諭すかの要にゆっくり、ゆっくりと。
すっかりアメリカ化したハワイの中で大切な核心に触れた一日だった。
帰ってから、Kayokoさん宅に遊びに行く。
三匹の大きな犬が出迎えた。
ご主人のジョージさんが病気なので励ます為に友人が毎日のように訪れるという。
やはりサーファーの方が多かった。
皆の暖かい気持ちが伝わる。
ジョージさんはバリバリのアスリートだったらしい。優しい笑顔の中にも鍛えられた感覚が光る。
タヒチの写真なんかも見せてもらって帰路に就いた。
人生は一瞬の夢の様なもの。
俺達はどんな夢を描き、どんな風に生きようか?
風が気持ちいい。
風のように自由に生きたい。
海のように広く大きく変化し続けたい。
そして何よりその夢物語を楽しんで生きていきたい。
生きている事に感謝した。